日本に古くからある日本の伝統芸能に一つに生け花があります。
日本には数多くの流派がありますが、池坊・草月流・小原流という名前だけでも聞いたことがあるのではないでしょうか。
生け花を知らない人にとって、有名な方の作品を見ても似たり寄ったりでどう見たらいいのか違いが分からないという方が多いでしょう。
しかし、実際にはそれぞれにしっかりした流儀があり、それぞれに特徴があります。
いけ方もかなり異なります。
そんな流派が誕生したのは室町時代、京都の六角堂のお坊さんがお花を生けたことが始まりと言われています。
流派は家元と宗家を中心に構成されており、家元はその伝統・流儀を伝承する最高権威者でもあります。
一般的には家元は世襲制で血縁者に代々受け継がれています。
現在、この流派はその数300~700以上もあると言われており、名の通った流派はほんの一握りです。
この池坊・草月流・小原流は三大流派と呼ばれる日本で代表的な流派です。
その中でも池坊は最も古く、この流派が生け花を確立したと伝わっています。
先ほどの六角堂のお坊さんこそがこの池坊です。
池坊は草花が持つ生命と自然の中に美と和を見出します。
これは美しい状態の花を使うことではなく、枯れかけたものや色あせたもの、虫食いがあるものなですべての生命ある草花のありのままの姿をいけることを理念としています。
時には枯れた枝や葉なども使われることがあります。
まさに池坊はこの世界パイオニア的存在です。
一方で草月流は草月流の特徴は、モダンアートというところでしょうか。
乾山を使用せず針金などの道具を使っていけてく技法がとられており、華やかで艶やかな現代風の作品が多くあります。
このような作品が多いことから草月流の作品はアメリカやヨーロッパにも広がっており、日本の伝統芸のを広く世界へ発信した流派でもあります。
そして最後、小原流は池坊の門弟・小原雲心が作りました。
彼は当時あまり使われていないかった洋花を取り入れたり、デパートで展示会を開催したりと一般に門戸を広げた革命児的存在です。
このようにそれぞれの流派によって花材をいける技術や道具、精神面まで異なりますが、共通して言えることは草花をはじめとしたすべての植物を愛し、その美しさを生かしながらいけている、ということです。
さて、紹介した三大流派のように伝統を重んじる流派もあれば自由に花を楽しむ流派も増え、もっと気軽に伝統文化を体験できる時代になってきました。
生け花といえば格式が高く難しい習いごというイメージがどうしても付きまといますが、今は昔ほど堅苦しくなく、気軽に楽しめる習い事へと変わってきました。
体験教室も多く、チャレンジしやすい環境になってきています。
そのせいか、最近では仕事帰りのサラリーマンも通い始めています。
もちろん伝統的な技法を学ぶのも楽しいと思いますので、自分が学びたい生け花を教えてくれる教室を探してみてください。
また、四季ごとにあふれるお花を自分流で楽しむのも良いですが、ぜひ一度は教室に通って学ばれることをお勧めします。
生け花はフラワーアレンジメントと違い、「引き算の美学」と言われるほど季節の草花を出来るだけ少ない数で作品を作っていくことが求められます。
また日本の伝統芸能ゆえその歴史や覚えておかなければならないことがたくさんあります。
素晴らしい草花の生命を見つめ触れることによって自然の恵みに感謝をする、さらには師匠と弟子、弟子から弟子へと交流していくことで他者を敬い、大切にする姿勢を養うこと学ばなければなりません。
お花を通して日本の伝統芸能を学び生命の美しさに気づけるのは本当に素敵なことです。
ぜひ一度あなたも挑戦してみてください。