個人事業主として働く上では節税対策を行うことが重要となります。
節税をするのとしないのとでは、負担する金額が大きく異なるからです。
しかしながら、節税対策の中にはやってはいけないこともあるので覚えておくようにしましょう。
その1つは今期の税額だけを減らすということです。
一時的に節税を行い今期のみ負担を減らすものの、支払いを延期しただけの対策は繰り延べ型節税と呼びます。
経営的に苦しい状況を逃れるためには有効な作戦のように見えるかもしれませんが、経営的な観点が考えると繰り延べ型は得策ではありません。
将来的に大きな税金を支払う必要性が生まれるからです。
また、滞納扱いになってしまうリスクにも気を配っておく必要があります。
法律上の解釈の矛盾や法の盲点をつくことによって節税対策を行えるケースもありますが、これは経営者として基本的にやってはいけません。
法律は人が作ったものであり、適宜改正が行われることを前提としています。
そのため、解釈次第では抜け道のようなものも存在し、その結果として節税出来てしまうこともあります。
ところが、そのような節税対策をしたとしても法改正によって簡単に阻まれてしまうことになります。
また、法律の解釈だけに頼っているといざ裁判を起こされたときに、勝てるという保証がありません。
あくまで節税対策は正攻法で行っていくことが大切です。
抜け道を利用した節税は企業としての信用を失墜させてしまうことにもなりかねません。
具体的にやってはいけない節税の事例として、本来控除することが出来ないマンション建設に伴う消費税を還付する裏技が話題になったことがあります。
マンションなど企業の所有する建物を購入する際には消費税がかかります。
これは個人事業主でなくても同じです。
しかし、その購入費用を企業の経営に別の名目で繰り込むことにより、消費税の分を還付できるという方法に注目が集まりました。
とはいえ、これは正当な節税とは言えず、脱税と判断されてしまいかねないものです。
一時的には見逃されたとしても、のちに問題となってしまう可能性があります。
それゆえにこのような手法で節税を行うことは回避すべきと言えるでしょう。
法人契約の保険を個人に譲渡して、税額を少なくするという方法が広まったこともあります。
保険の譲渡は不動産などと異なり、通達にあいまいな部分があります。
その仕組みを利用して節税を行うということも物理的には不可能ではありませんが、自治体などでは税制をたびたび改正してこの節税を防ごうとしています。
仮にこの方法で税額を減らすことが出来たとしても、それは一時的なものであり、すぐに阻止されてしまう可能性が高いです。
通達を故意に分かりづらいものにしてしまうことは、法的な問題もあります。
このようにギリギリのラインを攻める節税には大きなリスクがあるので、個人事業主として企業経営を行う際にはやめておいた方が良いでしょう。
保険が絡むことによって、保険会社との損害賠償問題に発展することもあります。
節税対策を行う中で税額は減らせたものの、他のコストや時間がかかってしまったという方もいます。
経営を行う中でかかる費用は税金だけではありません。
税額が減ってもトータルの費用が上がれば本末転倒となります。
それゆえにその節税が本当に企業にとってメリットをもたらすものなのかについて、慎重に判断を下していく必要があります。
もちろん税の専門家から情報を得ることも有効です。
インターネットなどで噂されている段階の情報などをうのみにせず、しっかりと法律を確認してどのような節税を行うかを決めていくことが重要と言えるのではないでしょうか。